アジアはかつて技術の最先端を走っていた。中国では船を造り遠くアフリカまで遠征する術を持っていた。しかしその後15世紀から16世紀にかけてのいわゆる大航海時代に入ると科学技術はヨーロッパが主導権を握るようになる。デカルト以来の近代科学は、現代に至る我々の生活に大きな発展をもたらせてくれた。
今その「デカルト以来」が再び大きく変わろうとしている。われわれの生活のなかに、これまでの物理学を超えた技術が登場し始めている。たとえばナノテクノロジーなどは量子力学が支配する世界である。
東京大学名誉教授で東京海上研究所理事長の石井威望先生によれば、ディジタルはもはや古典であると。これからは量子の世界「キュービタル」の世界であると。
0か1かでは語れない世界。換言すれば混沌を許諾する世界が未来を開拓する。私はこれを欧米合理主義と対極に位置するアジア的思考と極めて親和性の高い世界であると思うのである。